世田谷
パリの空の下にて。
季節のアントルメ、冬はやっぱり林檎でした。
ヴァレ・ドージュ 5600円
オージュの谷(vallée d'Auge)は、シードルから作る蒸留酒のカルヴァドスの生産地とのこと。
ペイ・ドージュというケーキも時々見かけるようですね。
トップに見た目も味もクリアな林檎のナパージュ、溶岩窯で焼いて凝縮された果肉。
その下の口どけ良くクリーミーなムースは、カルヴァドスで大人のエスプリも効きつつ林檎の果肉の味わいがしっかりと。
いずれの部分も林檎ならではの酸味と甘みが存分に楽しめる仕組みになっているのですね。
下の部分は、アーモンドとバニラの生地にキャラメルのババロワ。
程よい甘さと苦味のクリームにアーモンドの薫り高い生地が楽しめますが、決して林檎の部分の味わいを邪魔することはなく、反対に調和することでよりそれぞれの味が引き立つようでした。
同じような見た目、組み合わせのケーキはこれまで食べる機会は何度かあったと思いますが、「林檎ってやはりそんなにはっきりとした味ではないから、どうしても甘さや組み合わせたほかの素材の味が勝ってしまうのかな」と思っていました。
それは間違いでしたね。
林檎の魅力が充分に引き出されていなかっただけなのでしょう。
あえて誤解を恐れずに言いますと、フランスでお菓子を食べてはいない今の自分にとって、正直言って「フランス菓子かどうか?」ということは問題ではない、というか本当に判断は出来ないと思います。
それよりも、食べた時に「ああ、これは本物だ」と思えるものに出会えるのが大きな喜びです。
本物?何を基準として?・・・それは、自分にもわからないのですが、自然にそう確信できる時があります。
パリの空の下のお菓子はそれを教えてくれました。